弱くなる言葉12個と、その直し方
16項目の基準「独自性」「具体的エピソードの有無」「定量的根拠」に対応
診断していて、点が伸びない原稿にはよく似た言葉が並びます。悪い言葉ではありません。ただ、誰にでも書けてしまうだけです。読み手は同じ日に何十枚も読むので、誰にでも書ける文は残りません。ここでは、そういう表現を12個と、直した後の文を並べました。
BEFORE◯◯について幅広く学びたいと思いました。
AFTER高校2年の探究で扱った「商店街の空き店舗」を、地価と人口のどちらで説明できるかが分からず、都市経済学を学びたいと考えました。
「幅広く」は、何に関心があるか決まっていないことの言い換えに読まれます。狭くするほど強くなります。
BEFORE社会に貢献できる人材になりたいです。
AFTER介護施設で見た「申し送りが紙で、次の人に伝わらない」状態を、情報設計の側から変えられる人になりたいです。
「貢献」は誰も反対しない言葉なので、情報量がゼロです。誰の、どの困りごとかまで書くと一気に具体になります。
BEFORE患者さんに寄り添う看護師になりたいです。
AFTER祖父の入院中、看護師の方が痛みの強さを「10段階でいくつですか」と毎回聞いていました。感覚を言葉にする手助けができる看護師になりたいです。
「寄り添う」は、あなたが見た具体的な行為に置き換えられます。見た場面を1つ書けば、言葉はいらなくなります。
BEFORE貴学は設備が充実しており、経験豊富な先生方がいます。
AFTER貴学の◯◯演習は2年次から少人数で扱うと聞き、私が知りたい「◯◯」をその段階で調べられる点に惹かれました。
大学名を入れ替えても成立する文は、志望理由になりません。科目名・演習名・研究室名のどれか1つを入れてください。
BEFOREコミュニケーション能力を活かして貢献したいです。
AFTER部活では、練習に来なくなった1年生に理由を聞く役を続けました。3人のうち2人が戻りました。
能力の名前は、面接で「それはどこで発揮しましたか」と必ず聞かれます。先に場面で書けば、その質問が消えます。
BEFORE小学生の頃から興味を持っていました。
AFTER中学3年の夏、◯◯を調べていて「◯◯が説明できない」と気づいたのが最初です。
「小さい頃から」は検証できません。いつ・何がきっかけかが1点でも書けると、面接で話が続きます。
BEFORE将来はグローバルに活躍したいです。
AFTERベトナムからの技能実習生が多い地域で育ち、日本語教室の手伝いを1年続けました。同じ状況を制度の側から見たいと考えています。
「グローバル」は範囲が広すぎて、何をする人なのか像が結びません。地名・言語・相手を1つ出してください。
BEFORE多くのことを学び、成長できると考えています。
AFTER1年次の統計の必修で、自分が探究で使った集計が間違っていたことを確かめたいです。
「成長」は結果であって、志望理由ではありません。何を確かめたいのかを書くと、学ぶ理由になります。
BEFOREこの経験から、協調性の大切さを学びました。
AFTERこの経験から、意見が割れたときは先に「どこまでは合意できているか」を確認する、という進め方に変えました。
学んだ「気持ち」ではなく、変えた「行動」を書きます。行動は再現できるので、大学側が評価しやすくなります。
BEFORE◯◯に感銘を受けました。
AFTER◯◯を見て、自分がそれまで「◯◯は◯◯だ」と思い込んでいたことに気づきました。
感銘・感動は、読み手には中身が伝わりません。何がどう変わったかに置き換えてください。
BEFORE地域活性化に取り組みたいです。
AFTER私の住む町は、10年で商店が◯軒から◯軒に減りました。残った店の共通点を調べたいです。
大きい言葉は、それだけで薄く見えます。数字を1つ入れると、調べた人の文章になります。
BEFORE以上の理由から、貴学を志望します。
AFTER(この1文を消して、本文でいちばん強い場面の1文で終える)
結びの定型文は、直前まで積み上げた印象を平らにします。消して構いません。
直すときの手順
1. 消す
抽象的な言葉(貢献・幅広く・寄り添う・グローバル・成長)に、まず線を引いて消します。文が壊れて構いません。
5分
2. 場面に置き換える
その言葉を使いたくなった、実際の場面を1つ思い出します。いつ・どこで・誰が・何をしていたか。
10分
3. 数字を1つ入れる
期間・回数・人数・変化のどれか1つ。数字が入ると、読み手はその場面を実在のものとして扱います。
5分
4. 声に出して読む
言いにくい文は、面接でも言えません。読みながらつっかえた場所が、直す場所です。
5分
置き換えたあと、自己採点シートでもう一度16項目をつけてみてください。「独自性」と「具体的エピソードの有無」が動いていれば、直せています。
自分の原稿は何点か
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